木材は弱い?いえいえ実はとても強いのです。

木材が「使えない」と思っている方にその理由を聞くと、一番多く挙がるのが「弱い」というものです。
何だかわかるような。それでは、木材は本当に弱いのでしょうか。
そうであれば、どれほどのものでしょうか。では、この表を見てください。

 ここでは、木材と鋼材、コンクリートを比較しています。
鋼材はふだん鉄と呼んでいるものでいろいろな種類がありますが、オーソドックスな例を挙げています。
コンクリートも同じくです。これらは人工的な材料であり、素材の混ぜ合わせ方を変えることでいろいろな性能を作り出すことができます。一方の木材には樹種があり、それぞれで結構性質が違います。
ここでは国内で最も使われているスギを例として挙げておきます。

 強さとして、押しつぶす力である圧縮に対してと引きちぎる力である引張に対しての2つを挙げます。
コンクリートは圧縮力には強いものの引張力には弱いという性質があります。
その得意な圧縮力で比べると、何と木材はコンクリートよりも強いことがわかります。
引張力もそこそこにあり曲げる力にも抵抗できます。
実際のコンクリートの強さはこの3倍くらいですが、木材では6倍くらいなので、実際の強さではもっと差がつきます。

 木材のメリットのひとつはその軽さです。強さそのものでは鋼材には太刀打ちできませんが、重さあたりで考えると同程度になります。
つまり、木材はコンクリートと同様に強く、重さを考慮すると鋼材にも匹敵する強さを持っているということになります。

 では、そんなに強い木材がなぜ弱いと誤解されてしまうのでしょうか。
それは柔らかいためでしょう。
金槌で叩くと凹むような材料が強いとは、にわかには信じられません。
もうひとつ、変形しにくさとはヤング係数と呼ばれているものですが、木材ではこれがやたら小さいのが目につきます。

つまり木材は、強さの割に変形しやすいのです。足場板は人が載って大きくたわんでも折れるわけではなく、降りれば元に戻りますよね。

 これは、私が講義中に振り回しているひのきの指し棒です。
これが鋼材なら重くて危ないですし、コンクリートなら持ち上げたとたんに折れてしまいます。
軽くて強い木材だからこんな使い方もできるわけです。

 それでは、なぜこんなに木材は強いのか、それは次回に紹介することにします。

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