木材は意外にも強い~コンクリートを凌駕する強さの秘密

前回の「木材は弱い?」では、木材がコンクリートよりも軽いのに強いことと、軽さを考慮すれば鋼材(鉄)並みに強いことを紹介しました。それでは、なぜこんなに木材は強いのでしょうか。
木材とは、つまりは樹木を伐って形を整えただけのものです。にわかには信じられません。このことは、木材をミクロに見てみるとわかります。
下の図の(a)を拡大したのが(b)、さらに拡大したのが(c)ですが、まるでストローを束にしたみたいですね。樹種にもよりますが、針葉樹はだいたいこんな感じです。

 ストローに見えるものは細胞壁です。細長い細胞が長さ方向に連なり、それが束になって樹体を支えているのです。これらの細胞壁はすべて、水分や栄養分の通り道の役割も持っています。つまり全身で自らを支え、全身が血管でもあるわけです。なんと合理的なこと。
 さらに拡大した(d)を見ると、細胞壁はセルロースが絡み合ってできていること、よく見るとそのほとんどが長さ方向に向いていることがわかりますね。セルロースとは簡単に言えば繊維です。なので、細胞の長さ方向にはものすごく強いのです。ただし、それに直交する方向の強さはそうでもありません。
 樹木は、わけあって1方向にのみ強いからだを作り出しています。その樹木の幹から得られた木材も、当然その性質を引き継ぎます。これが木材の強い理由ですが、軽いことの説明にはなっていませんね。軽さの秘密が次の話です。

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