山には木がいっぱいだけど

むかしむかし、おじいさんは山に柴刈りに行きました。芝刈りではないですよ、柴というのは燃料用の小枝のことです。木は山に生えていますよね。だから山に行ったのです。重労働でしたね、おじいさん。ありがとう電気、ガス。

木は山に生えている。子どもの絵だって山は緑色。これをあたりまえと思ったみなさん、それは日本人だけの感覚かもしれませんよ。外国に行った方なら山にも木がなかったり、逆に平地に木が生えていたりするのを見たことがあるかもしれません。そう、山に木が生えているのではなく、山にだけ木が残っているというのが正しいです、日本では。狭い国土の平地の部分は田畑になり、まちになりました。それができない山には木を残して、森の恵みをいただこうとご先祖様たちは考えたわけです。

今でこそ豊富に供給できる日本の森林ですが、かつては不足した時代がありました。江戸時代初期のお城がマツ材を使用しているのも、江戸時代に幕府が領地の伐採を厳しく取り締まったのも、建築用材に適する樹木が足りなかったからです。そして高度成長期には、長く続いた戦争で管理がおろそかになっていた森林の供給力が衰え、旺盛な木材需要に応えることはできませんでした。そこで取られた対策は2つでした。

ひとつは輸入で急場をしのぐことです。木材は真っ先に自由化された農産物(といってよいのか)だったりします。対策のもうひとつは木を植えることでした。その頃は、日本中で猛烈な勢いで植林が進められた時代でもありました。でも、使えるようなサイズになるのには数十年はかかります。

そして、その頃に植えた木たちが立派に成長して旬を迎えている、それが日本の森林なのです。

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