俺を没入させた男たち

※国土交通省の中心施作であるI-constructionに引っ掛けて、このタイトルとして、毎回出会った変人たちの話を連載します

没入してみますか!その男たちは意味不明な言葉を私に投げかけた。没入・・・なんて甘美な、なんて堕落へと誘いそうな言葉だろうか。
少し躊躇しつつ、少し唇を震わせながら、私は頷いた。

私は自他共に認めるIT弱者だ。
ITを駆使しているかのように見栄をはり、日々背伸びをして生きている。
そんな私に、ITを駆使した土木現場の効率化をリードしている変人(褒め言葉)が会いに来てくれた。
その名は株式会社山口土木の松尾泰晴氏、株式会社田上重機開発の森田氏。

彼らはドローンやレーザー測量機器をワンボックス一杯に積込み、変人二人を引き連れて福岡へやってきた。
目的の橋に着くや否や、約3時間で彼らはあらゆる機器の操作を見せてくれた。そして、日が暮れると足早に中洲へドロンした。

翌朝、奇跡が起こった。昨日の現場がバーチャルリアリティとなって、パソコンの中にあるのだ。たった一晩でこんなことになるのか?
それだけでも、驚愕の出来事なのに、さらに笑顔で語りかけるのだ。「没入してみますか?」

私はなされるがままにVRゴーグルをかけた。するとそこは、昨日の現場だった。まさに私がそこにいる感覚そのものだ。これが没入・・・。おそるべし世界。
そこで測りたい長さがあれば、空を浮遊しながら測れてしまう。そこに長さを表示して、写真を撮ることできる。
このデータがクラウドで共有されていれば、フランスにいる貴方とここで会うことができる。

これが、i-conの向かう世界なのか、無限の想像が膨らんでくる!?

この感覚はパソコンが一家に一台となったあの日、
携帯電話が登場したあの日、
スマートフォンを私だけ持っていなかったあの日のようだ。

土木が変わる予感。
尊敬する変人たちよ、ありがとう。私はそっとドローンをポチった。

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