水に浮く~木材はなぜ軽い?
前回お送りした第3稿では、木材の強さの秘密に迫りましたが、ここではそんな木材がなぜ軽いのでしょうか。その理由もストローの束で説明できます。この図は、前回の図と同じものです。
ストローは血管の役割を持っていますので、生きている樹木のストローには水分や養分が通っています。では、伐った後のストローには? 伐った直後にはまだ水分は残っていますが、徐々に蒸発して空隙になります。そう、木材はスポンジのように隙間だらけなのです。
そもそも有機物である木材の細胞壁が水よりも軽いはずはありません。木材の細胞壁の実質の重さは樹種にかかわらず水の1.5倍ほどあります。なので、この空隙が水に満たされれば木材は水に沈みます。池の底に枯死した樹木が沈んでいることがあるのはそういう理由からです。なので、樹種による軽い重いは、空隙の多い少ないに関係しているということになります。
広葉樹では、自らを支える細胞と血管の役割をする細胞に機能が分化していますので空隙は少なく、そのため重いものが多くなります。タンスに使うキリのような軽い広葉樹もありますが。逆に、 元々水に沈むような重い樹種では、空隙は少ないことになります。
おさらいすると、木材が軽いのは、空隙だらけのからだを有しているからです。第3稿の話と合わせると、木材は軽くて強いと言うことがわかります。このことは、橋の材料としても木材は魅力的ということでもあります。それでも木橋が少ないのには、そこには別の課題の課題があるからです。その課題についてはまたの機会に。
- 木橋マイスターわたなべの土木でモクモク
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